日本犬科学研究室 -コラムKIBA21-1-

ZIN 日本犬科学研究室
那智勝浦町色川樫原
TARO 人を犬に問う 自然史・文化史




コラム
21世紀の日本犬

KIBA21-1号

日本犬科学研究室が、ラインナップに挙げる “ 2 1 世 紀 の 日 本 犬 ” の 基準は、歴史に照合率の高い個体が必至の条件となる。
KIBA21-1号(翔春号)の個体解析に基づけば、発達した骨格に 緊 着
の靱い腱が、鋭いコーナリングに 発生する 遠心力 を制御し、 個体比重に比例の加速を保障する。
獲物を逃がさない機能の緊迫感が静かに息づく。
腱の先天性に対して、筋の後天性は、用途に合わせた 運動管理 の 結 果である。
現役日本犬と展覧会日本犬の筋肉の異いは、縦 横 無 尽 の駆動によって
培った筋肉と、平面を直線反復によるルックス筋肉に分類される。
サッカー ・ アスリート の目立たない筋肉 のメ カ ニ ズ ム に、現役日本犬
の腱、筋は似ていないか。機会があれば、比較参照を。
翔春号の弛ませた指に、反 射 反 応 が駆 動 に変る所要時間は0.14 秒を
割り出した。
緊張による指を握ったまま、猪の牙を待って死に至る 機 能 不 全 の個体
ではない。
指握り尾差す緊張美学が、紀州犬に狂暴症を発症させた。
国民から預った天然記念物を、凶器化させた責任を、どう取るのか。
元法相、日本犬保存会会長に質したい。
紀州犬に比べ、牙の会 が 記録 したデータに 拠るかぎり、四国犬 の 使役
機能に展覧会による障害は、顕著なほどに確認していない。
翔春号の飼主に取材した。
「山 へ 連 れ て 行ってやれない 代わりに、砂 浜 を 駆 けさせる。 しかし、
犬には虚しいのだろう。犬に歓びがないのだ」
日本犬への感性がしのばれる。
飼主は日本犬保存会の会員だという。
飼主の名誉を考えて証言するが、展覧会の「席順コジキ」ではない。
「春 の 展 覧 会 は 自 粛 せよ!国 の 惨 事 に、犬くらべに浮かれている
時ではない!」
日本犬保存会本部を戒めたのである。
新 宿 の 裏 長 屋 、雨漏りする一室を事務局に集った「日保七人の士」の
DNAが、北陸に生きていた。



牙の会主宰 井上雄




〈次号KIBA21-2号は、現役紀州犬斑個体を採り挙げます>

翔春号(四国犬)  作出 達磨白刃荘
翔春号(四国犬)  作出 達磨白刃荘
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